物の名前は重要ではない。大切なのは関係性〜7月教室レポート〜
7月の教室レポートです。
教室前半は私たちが、普段話している物、事、感覚などについてどうやって共通認識を得ているのか?というお話でした。
以下は小野田さんの話の要約です。
※下記の要約には、小野田さんの話を聞いた僕(土橋)の解釈が含まれています。小野田さんの直接の発言については、黒太字に記しています。
「定義の話」
私たちは、物に名前(ラベル)をつけることによって共通認識を得ています。
でも同じ物でも見る人によってニュアンスの違いが生まれます。
例えば、同じ青という色でも、本当にどの人にも同じ青に見えているとは限りません。ある人はグラデーションに見えていたり、ある人には濃い目の藍色っぽく見えているかもしれません。それは、視力の問題だったり、目の網膜の状態が人によって異なるからです。
では、人によって、異なるように見えているものに対して、どうやってそれが同じものであると了解を得るのか?
●重要なのは、物のネーミングではなく、物と物との関係性。
黒い色と赤い色があるとき、黒を赤と言い、赤を黒と言っても特に不都合はありません。
それはただの名前(ラベル)だからです。
実は名前が事実を反映しているわけではありません。
事実を正確に反映するには、関係性を決めることが必要です。
例えば、黒と青と緑のラインがあったとします。
この時、この三本のラインの関係性を下のように決めます。
事実①上の橋は黒である。
事実②下の橋は緑である。
事実③黒の横は青である。
事実④青の横は緑である。
事実⑤全部で3色である。
このとき黒、青、緑を○、△、×と言っても良いし、モーツァルト、バッハ、ベートーンと言っても問題ありません。名前はなんだって良いんです。
また、5つの事実をよく見ると、事実①、②、③によって、事実④、⑤は自動的に言えることが分かります。つまり事実④、⑤はこの3つのラインの関係性を表すのに必要ではありません。
このように相互の関係性を示すことによって定義された黒、青、緑のようなものを無定義語と言います。
そして、相互の関係性を示す事実(公理)よって無定義語を定めて、体系をつくっていくものを形式公理系と言います。
物事を正確に言おうと思えば、このように公理によって無定義語を定め、関係性を示すことで、正確に言い表わすことができます。
数学の体系を作っていくときには、はじめに無定義語を公理によって示し、体系を作り上げていきます。
こうすれば、私たちがなんとなく共通認識として捉えているものを、はっきりと同じものであると言えるし、宇宙人でも、千年後の人でも理解出来る。
フォノグラムという感覚的なものを扱うときに、普遍的な意味を持たせようと考えると、ここまで厳密に考える必要があります。
今回は「定義」についてのお話でした。
日常の生活で物事を考えるときに、物事を定義することについて、ここまで厳密に考えることはなかったので、新たな観点を知ることができて良かったです。
続いて教室の後半は、楽器製作を行いました。
製作途中のヴァイオリンからフォノグラムを取っているところ。
下の図はちょっと分かりにくいが、製作途中のヴァイオリンからフォノグラムの図形を描いたものです。ラインで分けられている部分は、異なる音の領域が存在していることを表しています。この異なる音の領域が全て等音になるように調整しながら板を削っていきます。
投稿者:土橋 健一
私たちが見ている世界はマボロシに過ぎない?6月教室レポート②
6月教室レポート②です。
私たちは、言葉を使って相手と意識的にコミューニーケションします。
でも言葉を交わす以前に、相手の雰囲気を感じ取って、無意識レベルでも既にコミューニケーションは行われています。
この無意識レベルの情報を脳が解釈して、私たちは世界を見ています。
ということは、私たちが現実だと思っている世界は、元々の情報のほんの一部に過ぎず、脳が好きなように解釈したバーチャルリアリティの世界だと言えるかもしれません。
私たちは、無意識の世界の情報(実体)を脳(目)を通して射影して見ているのです。
でも、この解釈以前の無意識レベルの情報こそ、実体であり、大元の情報です。
この無意識レベルの大元の情報をそのまま捉える方法はあるのでしょうか?
実は、フォノグラム(音の図形)は、この無意識レベルの情報を描いたものです。
私たちは音を聞く時、一つの音だけを聞いているように思っていますが、実際には音は無限にたくさんの同時に鳴っていて、その中で聞こえやすい振動数の音を、一つの音として捉えています。
フォノグラムの図形は、音(実際に聞こえている音というよりは無意識レベルに感じている音)を図形に表したものですが、無限次元(に存在する)の音の情報を、2次元の情報(紙)に表したものです。(射影したもの)
フォノグラムの図形は無意識レベルの情報に近づくほど曼荼羅のような美しい図形が描けます。
一方、脳の解釈を通した図形になるほど、渦巻きがたくさん存在する秩序のない図形になります。
(http://www.tomoyuki-onoda.comより)
このフォノグラムの図形は、何を表したものかということをもう少し詳しく見てみます。人体も含め世界には無限次元のトーラスが至るところに存在しています。トーラスが何かというと僕もあまりよく分かっていないのですが、色んなトーラスの形があって、イメージしやすい形としてはドーナツみたいな形も一つのトーラスです。このドーナツの中に穴がいくつかあるものとか様々なトーラスの形があります。このトーラス体を輪切りにしたと仮定して、それを上から見ると下のような図形が描けます。つまりフォノグラムはトーラスを射影して見たものなのだそうです。
※この内容について僕も理解しきれていない為、分かりにくいと思いますが参考までに書いておきました。
上の人体のトーラスを輪切りにして上から見ると、こんな感じになる?
結局、この教室で取り組んでいることは、ありのままの自然の情報をそのまま捉えるということです。私たちが、自分の色メガネを使って世界を解釈する以前の。フォノグラムはその為の技法であり表現方法です。
教室の後半は、楽器製作を通してフォノグラムの技術習得を目指します。
無心になれて気持ち良いです♨️
次回も楽しみです^^
投稿者:つちはし けんいち
フォノグラムとは何か?「次元の話」〜6月教室レポート①〜
6月の教室レポートです。
この教室では、フォノグラム(音の図形)とは何かということを頭で理解し身体でも体感するということを一つのテーマとしています。
今回は「次元の話」からフォノグラムとは何の情報を表したものか?についてお話しします。
上の図は立方体を描いたものですが、実在する立方体ではありません。3次元の立方体を2次元の紙に描いたものです。
上の図は2次元の紙に書いた立方体の情報をさらに1次元の線に書き表したものです。
このように物体に光を当ててその影を写すことを射影(projection)といいます。
参考:ルネサンス以降、自然科学が発達し、絵画にもこの射影が用いられるようになりました。
(光の画家 フェルメール)
上図は3次元を2次元や1次元に射影して表しているわけですが、3次元の情報を2次元に移した場合、3次元の本体の情報と同じではありません。つまり次元を低くすると、実体よりも、情報は失われます。
ただ、実体そのもの情報ではないとしても、実体を把握する為の手がかりとなる情報はあるはずです。
ここで逆に次元の低い方から、高い方の予測はできないだろうか?ということを考えてみます。
例えば4次元のものを3次元から持ってくることは可能か?
このとき次元間の関係を調べてみることが手がかかりになります。
左の図から3次元の図形は、「点一つに対して線が3本」出ています。2次元は「点1つに対して線が2本」出ています。1次元は「点1つに対して線が一本」。0次元は「点1つに対して線が0本」です。
ということは、4次元の図形は「点1つに対して線が4本」出ている図形かなと推測することできます。また、次元が上がるに連れ、元の図形をもう一つコピーして図形同士を線で繋ぐということを行っています。
そのような図形を描いてみると、下の図のようになります。
これは、4次元の図形を2次元平面に描き表したもので、4次元そのものではありませんが、4次元の世界を知る為の一つの手がかりにはなります。
※上の図は4次元の世界を推測する為の一つのアイデアです。物理の世界では、3次元の物体に時間を加えたものを4次元と考えているそうです。
このように、感覚的には実感のわかない世界のものでも、表記可能なものを手掛かりとして、推測することができます。
ではフォノグラム(音の図形)とはどんな情報を書き表したものなのか?
次回に続きます。
投稿者:土橋 健一
「がんと冷え」「丹田の正体」5月教室レポート③
5月2回目の教室レポートです。今回の教室には、東京から人工知能の研究をされている学者さんが来られていました。
人体のフォノグラムについての話や、フォノグラムを利用した整体の実践が中心になりました。
「がんと冷え」
がん細胞は、40℃以上の熱で死滅する。このがん細胞の特徴を利用をして、温熱器(熱を発生させる機器)を使って体の体温を上げることでがん等の症状を治療する治療法があります。ただこの場合、外部から熱を加え続ける必要があり、温めるのをやめると、すぐに元に戻ってしまいます。
ではずっと体温の高さを維持するにはどうすれば良いか?
がんとは体が冷えている状態です。
冷えとは体に運動が起こっていない状態です。
フォノグラムの図形では、渦を巻いている状態になります。
(上の写真はヴァイオリンのフォノグラムを描いたもので渦がある状態です=共鳴状態はあまり高くありません。体が冷えていたり、病気のあるときはこのような渦が人体にも現れます。)
運動し続けていたら冷えは起こりません。
例えば心臓がんって聞いたことがありませんよね?。なぜなら心臓は動き続けているからです。
がんのような症状があるとき、人体には過剰に動きすぎている部分と、サボっている部分があります。つまり全体のバランスが崩れているので体温が上がらないのです。
楽器で音が鳴らないなのも全く同じ理由です。フォノグラムの図形で描くと上の写真のようにたくさんの渦が存在している状態になります。
人体に存在する上の写真のような渦を消していけば、身体全体の協調状態が回復し、冷えは解消します。結果としてがんの治癒にもつながっていきます。
追記:
マッスルmuscle(筋肉)の語源はラテン語で小さなネズミを意味するマウスmusculusから来ている。
ミケランジェロの彫刻は上半身と下半身がねじれている像が多い。
これは、見方によっては体の中のマウス(マッスル)が色んな方向へ行こうとして動けなくなくなっている、というように体の中の矛盾を表していると捉えることもできます。体の中にたくさんの渦がある状態です。
「丹田の正体」
台風の目というが、実際に台風の中に何かがあるわけではありません。
台風の目とは周りが動いている結果、中心に動いていない部分があるように見えているだけです。
野球のバッティングで軸を意識するというとき、の「軸」にも同じことが言えます。
「軸」という何かが実際に存在するわけではなく、回転して動くから結果として「軸」ができます。
丹田や経絡も同じです。
体全体が動いている結果中心に不動点が発生します。
周りが全て動いていて不動点が一つしかない状態です。それが丹田です。
だから運動していないと丹田は存在しないんです。
※ここでいう運動とは、必ずしも実際に体を動かすという意味ではなく、体の内部に動きがある状態です。渦がない状態。気(?)が滞ることなく流れている状態。
投稿者:つちはし けんいち
5月バイオリン教室レポート②
後半は実技の時間。
下は、僕が作った円形の等音面に圧電スピーカーをつけて実際に音を出してみているところです。そこそこの音は出ますが、高音がぼやけます。
板の厚みがあることや、中に魂柱を立てることでもう少し良い音が出ようになるかもしれないということでした。
ここで何を持って良い音と言うのかということについてお話がありました。
一般的には、大きくて響きのある音が出る。高音も低音もしっかり鳴る楽器が良い音の出る楽器ということになると思います。
一方この教室で目指していることは、音を鳴らした時、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドまで様ざまな音を内包した、密度の高い音が出る楽器作りを目指しています。
一つの音、例えばソという音を出すとき、私たちの耳にはソという音として聴こえます。でも実際には出ている音には、はっきり聴こえているソの音以外にも、他の色々な音や倍音が混ざっています。これらの音を聴き取ることは、普通はできませんが、フォノグラムの能力を育てていくことで聴き取れるようになるようです。このフォノグラムの感覚を元に7音階の全ての音を内包するような密度の高い音が出るように板を削っていきます。そのようにして作られた楽器が最も共鳴力の高い音が出る楽器になると考えています。
下の写真では音によって、領域を分けています。黒く塗っている部分は、周囲より音が低い部分で、これから削っていく部分になります。
木工職人のOくん。削りが滑らかです!
投稿:つちはし けんいち
5月ヴァイオリン製作教室レポート①
5月23日(月)の教室レポートです。
はじめは質問&お話タイムです。
「バイオリンを作っていて、どうして立体感のないのっぺりした形になるのでしょうか?」
この教室では、板を削っていく音を聴きながら、その音を合わせていく(フォノグラム)ことで、共鳴力の高い楽器を作ることを試みています。
フォノグラムを使って製作した共鳴力の高いバイオリンは、見た目にも丸みのある生き生きとした形になります。
でも、音の違いを認識できずに、削りすぎてしまって作ったバイオリンはのっぺりした形になってしまうということでした。
↓音が聴けていないと、板の丸みのある部分を削り過ぎてしまう
良い楽器作るためには、音をより細かく聴き分けていくいく能力が必要になります。
「知識を覚えることではなく発想を理解することが大切」
NASAでは、人間の脳にデータ(知識)をインプットすることが、技術として既に確立されているそうです。
でも、知識をインプットすることはできても発想を生み出すことはできない。
発想を生み出すのはコンピュータではできません。
今は、インターネットを見れば、知識はいくらでも手に入る時代です。
だったら最低限必要な知識を覚えていれば、頑張ってたくさん覚える必要はありません。
より大切なのは発想力。
自分だったらどう考えるか?
この人はどういう発想でこんなことをしたのか?という観点が大事。
発想とは、心の動きです。
フォノグラムは心の動きを反映したものです。
心の動きがそのまま楽器に現れます。
「感応は究極の模倣」
前回の記事でも書きましたが、主催のおのださんが、一ヶ月間までは、全く理解できかったフランスのある数学者の本を、だんだん理解できるようになってきたという話。
一日中持っていたり、パッとページを開いたり、グロタンディークはどう考えたんだろう?どう発想したんだろう?ということを一ヶ月、二ヶ月とずっと思い続けることで、だんだん本の内容が理解できるようになってくるそうです。
その人の気持ちになる、発想を理解する、徹底的に真似する
それが感応につながります。
レポート②へ続きます。
投稿:つちはし けんいち
4月ヴァイオリン製作教室レポート②
ヴァイオリン製作教室レポート②です。
教室の後半は、実際に楽器の製作を行っていきます。
楽器製作と言っていますが、実際にはヴァイオリンを作っている人もいれば、単純な円や四角い形をした板を削っている人もいます。
というのは、この教室の目的は、ただヴァイオリンの形をした板を作れるようになることではなく、楽器の製作を通してフォノグラムという、音を聴いてその音を整えていくことによって板の表面の共鳴状態を高めていく技法を学んでいくことだからです。
フォノグラムについては、ブログで少しずつお話ししていきます。
おのださんのヴァイオリン表板(製作途中)
板のフォノグラムを記述したものです。この図形を基にさらに調整を進めていきます。
外枠の状態をフォノグラムで調べているところ。
ヴァイオリンの外枠を作る時は、アウトラインが重要。下の写真のように外枠から延長して描ける線がどこまでも続くようなラインを意識します。
板表面をタッピングした時に、大きく分けると高い音と低い音が聞こえます。それを図示したのがフォノグラムです。はじめは聞こえる音の振れ幅が大きいですが、板を削り進めていくと、その振れ幅が小さくなってきます。音はドーレから始まり、→ドーミ、ドーソ、ドーラ、ドードとだんだん高く聞こえるようになってくるそうです。まだ僕も良くわかりません。
音の振れ幅が小さくなる様子を表しています。見にくくてすみません。
これは、僕が作っている円の等音板です。これに圧電スピーカーをくっつけると簡易スピーカーになります。共鳴力の高い板だとデジタル音ではでない暖かい音が聞こえます。
貼り合わせて完成です^^
投稿者:つちはしけんいち