踊る星を生むためには自分の中に混沌を抱えていなければならない。〜1月教室レポート〜
1月教室レポートです。
※下記の要約には、講師の小野田さんの話を聞いた私(土橋)の解釈が含まれています。小野田さんの直接の発言については、黒太字に記しています。
教室前半は、「学ぶってどういうこと?」というテーマを話し合いました。
この教室では、身体の状態を観察し、その感度を高めていくことで身体を整えていくということを行っています。
そうすることで、楽器製作をはじめとして、様々な技術の根本的な向上につながるからです。
でも普通は、「楽器製作の技術と身体の状態が関係している」という概念そのものが存在しないと思います。
つまりそこに問題意識はありません。
でも、何かを学ぼうというときには、この問題意識が必要です。
だから伝える側の方は、問題意識を持ってもらえるような伝え方をする必要があるし、
聞く側は、純粋に疑問を持とうとする姿勢が必要です。
ただ受身的に話を聞いているだけでは、その内容は素通りにしてしまう。
まずは疑問を持つこと。
そして、その疑問を自分で検証する方法を見つけるということが学ぶ上で大切なのではないだろうか?
今の教育では、学ぶということは、話を聞いてその場で理解することだと捉えらている傾向がある。
そして「理解する」ということは、疑問や問題に対してすぐに答えが出るものだと考えられているのではないだろうか?
でも聞いてその場で理解できるということは、今までの自分の尺度で解釈しているだけだから、それは新しいことを学んだということにはなりません。
本当に何か新しいことを学ぶということは、未知のものを受け入れるということ。
新しく入ってきた未知ものと既知のものが自分の中に混在するということ。
そこには矛盾が生まれます。
それは苦しいことだけど、矛盾を自分の中に抱えながら進んでいけることが大事。
「踊る星を生むためには自分の中に混沌を抱えていなければならない。」
「理解すること」とは、すぐに答えが出てくるものではなく、一生かかって作っていくものです。
教室後半は等音面による楽器製作です。
作業風景
「感度を高める。」
普段私たちは感度を下げて生きています。
それは、身体に対する違和感をあえて感じなくしようとすることだったり、色を見たり音を聞いたりするとき、細かい違いに気を配らないことだったりする。
等音面を作る、フォノグラムの図形を描けるようになるには、違和感に対する鋭敏さを養っていく必要があります。
自分の感度が上がれば、何をするにしてもより精密な作業ができるようになります。
これは、一生かけて育てていく能力。
姿勢を整え、正中を作ると、感度は高まります。
そして自分の身体を音のセンサー、アンプ代わりにする。
そうすると、フォノグラムの図形も取れるようになる。
その状態で楽器の製作を行うとより精密な質の高い楽器を作れる。
「呼吸の話」
吸っている時と、吐いている時では、身体の状態は変わります。
それは吸うとき吐くときの体積によって身体の状態が変わるからです。
呼吸にはおもいっきり吸う(MAX)、おもいっきり吐く(MIN)のレンジがあります。
そこで身体の状態が崩れてしまうと、安定したパフォーマンスは発揮できません。
なので一番大きく吸ったとき、吐いたときでも安定した状態が作れるように調整していくようにします。
どの状態でも身体に渦(歪み)がない状態を作れるように、等音面の風船を作るようなイメージです。
これができると、逆に呼吸だけで全身を調整していくこともできるようになります。
呼吸法などで、イメージや感覚を使って行うものがありますが、言語化された感覚やイメージは結果的に起こるものです。
これを頼りにするとイメージが先行して本質からずれていくことになります。
だから、イメージより呼吸によって起こる現象(フォノグラムの図形)を手掛かりにして調整していくようにします。
身体が歪んだ状態で何かの作業をすると情報処理も歪んだ状態で行われることになります。
でも、身体を等音面にすることで、情報処理はより正確でスムーズになり、あらゆる技術、能力が根本的に向上します。
だから一番大事なのは、コンディションを整えること。
コンディションを整えれば後は応用するだけです。
上の板のフォノグラムの図形を描いたもの。
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